記憶 ―惑星の黙示録―
私の知っているアランは、
いつもふざけて笑ってた…。
私と同じ様に、
自分の本当の心は隠していた。
初めて触れる心。
その優しさと、
心に抱え込む「寂しさ」に…
人の事のなのに。
自分も普段は同じなくせに…、
泣かないアランの代わりに、
弱音を吐かないアランの代わりに…、私が泣き出しそうになっていた…。
「私、結婚式の日取りが決まったの。これ、招待状!来てね?」
愛里は、
幸せそうに微笑みながら「私」に言っていた。
……ぇ?
目の前に在るのは、
まだ記憶に新しい光景で…。
「うん!おめでとう~!」
私が…、笑っていた。
この世界に来る少し前の私を、アランは見ていたんだ。
愛里を見ていたから、
私を知っていたんだね。
夕暮れ時のテラス。
愛里と、私。
『ちゃんと笑えていたかな?』
…笑えていたみたい。
『無理してるって、
気付かれなかったかな?』
…大丈夫。
ちゃんと笑えてるよ、私。
でも、どこかぎこちない笑み。
何か言いたそうな…
それを、隠した冷静な顔。
――…あの子は、
俺と同じ…
会ってみたいな…
奈央は俺に似ている…――