記憶 ―惑星の黙示録―
『会ってみたい、
俺と似ている…』
それは、
その時のアランの心の声。
会ってみて、
幻滅したでしょう…?
私は、アランみたいに優しくはないの。
優しさから周りを思いやって自分を隠している訳じゃない。
きっと…
自分を強く見せるのは、
もう傷付きたくないからで…。
素直になれないのは、
本心を隠すのは、
嫌われるのが…怖いから。
だから距離を保つ。
ただの臆病者なんだ…。
例え普段は何でも言える大切な友達が相手でも…、大事なところでは素直になれていないのかもしれない。
現に今、
目の前の「私」がそう笑っている様に…。
「暗くなって来たし、そろそろ行こうか。愛里、これからデートでしょ?」
「…うん。ごめんね、慌ただしくて…」
愛里はそう謝りながら、胸に抱いていた黒猫の首輪からリードを外す。
ちりん…
そう綺麗な鈴の音がした。
忘れてかけていた光景…。
私が覚えていた記憶の、その続きが目の前に在る。
黒猫の首輪に手を掛けながら、キャリーバッグへその子を導こうとしていた時だった。
――パンッ…
「――…!?」
そんな大きな音がして。