記憶 ―惑星の黙示録―
リュウさんは困った様に私を見つめ、優しく微笑んでいた。
「お前さんは未だ、あの子たちに心からの『おめでとう』を言えてねぇだろう?…未だ、死ねないだろう?」
「…ぁ…」
そうなの。
ちゃんと言えてない。
二人に…、
置いて行かれてしまう様な気がしていた。
寂しかったんだよ。
とても大切な存在だから。
ずっと傍に居て、
本当の私を分かってくれた人たちだから…
でも。
本当は、
心からの『おめでとう』を言いたかったんだよ?
…言えば、良かったんだよ…
言ったからって、
二人が私から離れて行くわけじゃない。
置いて行ったりしない。
いつだって、
…待っていてくれた。
今も…、
きっと意識の無い私の帰りを、待っていてくれている。
きっと、
待ってくれている人は他にも沢山居るんだよ…?
――…うん。
私がコクリと頷くと、
瞳から流れ落ちるのは…
長年の「心の膿」。
「…私、洗礼を受けずに元の世界に帰れる…?」
帰れると思った。
だから、これは確認。
「――…あぁ。人は天寿を全うしなくては洗礼を受けれない。今のお前さんは受ける時期じゃないのさ。」