記憶 ―惑星の黙示録―


先延ばしにして、わざわざ言わずにおいたのに、
アランが先に言うなんて…


「…ずるい…」

未だ…
心の準備が出来てないの。

意地っ張りで素直じゃない私がお礼を言う時は、

「お別れ」の時だから…


唇を噛み締める私に、
それを横で笑うアラン。

その余裕の表情が憎らしくて、眉間にしわが寄る。


「…奈央の事、見てたよ。意地っ張りで素直じゃない、無理をして頑張ってる奈央を見てたよ?俺は、自分自身と重ねていたのかもね…」

…うん、聞いたよ…

ヘラヘラと笑ってばかりいるお調子者の、何も考えてない適当な軽い奴…

最初の印象は最悪だったよ…


「…ははっ!今は違うの?」

「違ったでしょ!?」

涙混じりに今そう喧嘩越しに言えるのは、本当の貴方を少し知ってしまったから。


「…奈央と過ごして、俺も変われたんだよ。本当の『自分』を分かって貰える事が…どれだけ救いになるか…。俺たちはお互いに救われたのかもね…?」

「…リュウさんの策略なんだわ、きっと…」

憎まれ口を叩くのは、
「お別れ」が、悲しいから。


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