記憶 ―惑星の黙示録―


わざわざ言葉に出さないけど、

愛里の存在は、
私の「癒し」だからね…


「…ん。ボーっとしちゃった…」

私は、愛里にふっと笑顔を向ける。

それを合図に、愛里は私のうたた寝の為に途中で止まっていた話を再び進め始めた。


「…来週の日曜さ、絵美の職場でドレス選ぶんだけど…」

絵美の職場は、結婚式場。
そこで衣装を担当している事は知っていたから。


「――私も行くっ!ドレス!行って良い!?」

「ふふ、もちろん!」


私が飛び付いたのは…
純粋に愛里のドレス選びに一緒に行きたいのと、

絵美にも会いたいから。


「癒し」をくれるのが愛里なら、
絵美は私に…

「元気」をくれる。


二人が居なきゃ、
まともに立ち上がれもしないんだよ。

弱い、私。
それを許してくれる人。


でも…
もう一人…

あれ…?

もう一人…誰か居なかった?




にゃぁ…
にゃぁ、にゃぁ…

そんな鳴き声に、
ふと目を向けると。

胸に抱かれた黒猫が必死に私の元に来ようと、愛里の手の中で暴れていた。


「…何?どうしたの、タビ。奈央の所へ行きたいの?」

にゃぁ!
にゃぁぅ…!


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