記憶 ―惑星の黙示録―
「うん、奈央の普通はね?この世界ではそれで距離や大きさを知ろうとしちゃあいけないよ?大抵のものは、近付いてみなければ本当の大きさは分からない。あのプエル鉱山も近付くと大したことないんだ。」
「ふぅん…」
まるで小学校の先生のように、穏やかに私に言う。
幼児にこんな口調で話されて、大人しく従っているなんて、普段の私ならあり得ない。
お前は何様だ、とか…
何でこんなガキに説教されなきゃならないんだ、と内心イライラしているに決まっているのだが…、
どうしたことか、リュウ相手にはどうもそんな事気にならない。
…まぁ、夢だからか。
「どう?奈央。この世界は。」
「え?うーん…」
リュウの突然の質問に、私は少し考えて答えた。
「何だか…初めて来たはずなのに、懐かしい気がするかな?」
そう…、
ここへ来てから薄々と感じていたのはそんな感情だった。
こんな、常識を覆される場所へ来たら忘れるはずがない。
初めてここへ来たのは間違いないはず…。
でも、
この懐かしさは何だろう。
だけど、
夢だから起きたら忘れていて当然なのか。
前に夢で来たのかな?