記憶 ―惑星の黙示録―


小さな、綺麗な、
聞いた事のある音色…


「…鈴の音?」

「――あぁ、タビの首輪に…」

愛里はそう答えながら、私の腕に落ち着く黒猫の首輪に手を掛けたのだけど…


「……ぇ、無い!」

そう動きを止めて曇った顔。


「…?違うの?」

「や~ん!あの綺麗な音、気に入ってたのに~!タビったら、どこに落としたの~!?」

愛里は猫の首輪を一周探し、それでも無い事に溜め息を漏らす。

なんか…
謝らなくちゃ、と思って。


「…ごめんなさい…」

私の口が呟いていた。


「…なんで奈央が謝るの?」

あはは、と笑いながら首を傾げる愛里に…

「…いや、何となく…?」

と私も首を傾げた。


「…そういえば、さっき暴れた時も鈴の音しなかったなぁ~。タビったら、どこで落としたの!?もぉ…」

にゃぁ…
そう鳴きながら、私の腕から胸へ、首元へと忙しなく上りたがる猫。


――ザッ…

花の匂いが纏う風が通る。


にゃぁ…
『…あたし知らにゃ~い!しょりぇは愛里ちゃんにも「秘密」なにょよ、ねぇ?』


黒猫が私の首元へ擦り寄って、ゴロゴロと喉を鳴らした。


「――…へ!?」

「どうしたの、奈央…」


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