記憶 ―惑星の黙示録―
あの優しい不思議な雨の日から、普段通りの忙しない日常を過ごして…
――日曜日。
今日は愛里の挙式のドレスを選びに、絵美の職場へと来ていた。
「…いや~、迷っちゃう!」
愛里の嬉しい悲鳴が部屋中に響いていた。
「愛里、これは!?」
「それも可愛いー!」
愛里の横には、重そうな白いドレスを軽々と両手に持ち元気に笑う絵美の姿。
「私の時は、このデザインを着ようって決めてんだ~!」
「あー、素敵!」
愛里の挙式は、9月。
絵美の挙式は翌年の4月。
ふふふ…
幸せそうな二人に、私の顔にも笑みが漏れる。
『寂しい』と感じる心は、
どこかに消えてしまっていた。
「奈央の時も、私一緒に選ぶ~!…っていうか、三人で同じドレス着るのも有りじゃない!?」
絵美がナイスアイデアだ、と言わんばかりに自分が着ると言ったドレスを愛里の前に差し出した。
「あははは!絵美、押し付けんな!体型違うから無理だしッ!」
絵美が差し出したのは、細いラインのマーメイド。
身長だって三人それぞれに違うし、一番チビッコの私には特にきっと似合わない。
無理がある事は承知の冗談。