記憶 ―惑星の黙示録―
「ん~、良いアイデアだけど。私、あんまりお腹を締め付けたくないんだよね?」
愛里が真剣に話し出すから、私たちは「はて?」と首を傾げた。
「…あぁ。緊張して気持ち悪くなるから?」
絵美はそう聞いて。
「…披露宴の美味しいご飯が沢山食べれないからよね?」
私はそう聞いた。
愛里は幸せそうに首を横に振ると、自分のお腹を撫でる。
「…赤ちゃん、出来ちゃった。」
……赤、ちゃん…?
「「――…えぇぇ!!?」」
もうドレスはそっちのけ。
絵美も持っていたドレスを元に戻すと、「ここに座って詳しく話なさい」と部屋の中心に置かれるソファーに腰掛け、バンバンと隣りを叩いた。
「うちの兄貴、知ってるの?聞いてないよ!?」
「うふふ~、絵美と奈央には今日言おうと思って。梓には言わないでって言っておいたから…」
愛里はソファーに腰掛けながら、私たちを交互に見る。
「…ビックリした?」
「「――…するよッ!」」
声を揃えた私たちの返答に、愛里は嬉しそうに声をあげて笑っていた。
「…おめでとう!愛里!」
今、突然言いたくなって。
私は満面の笑みを浮かべて言った。
「…ありがとう…」