記憶 ―惑星の黙示録―
あれは…
ただの夢じゃない…。
閉じ込められたはずの、
私の記憶の中で…。
悲しみを越えて。
時を越えて…
その音を鳴らしてくれていた。
「…このお腹の子が、これから長い旅を越えた後…、この鈴を手にする時に。奈央と、『約束』をするんだよ…?」
「…うん…、うん…」
君は、
未来から過去へ…
転生したんだっけ、ね…?
それは、私と同じ世界。
私の…
少しだけ未来だ、と…
ほら、
誰かが言ってたよ…?
「…俺と、この子と三人で…。あの旅の、続きをしてくれますか…?奈央…?」
涙を流す私の手を握り、
「扉」を越えて来た「貴方」が強く微笑んで言った。
「貴方」と…、
未だ名前も無い、
お腹の中の「男の子」と…
三人で…?
「…うん…」
貴方となら、越えれるよ?
灰色のこの世界も、
きっと笑顔で越えていける…
私の心が読めているみたい。
貴方は少し瞳を潤ませて、
とても嬉しそうに笑っていた。