記憶 ―惑星の黙示録―
辛くて苦しい涙を、
我慢する事は出来るんだよ。
でも…
嬉しい涙を、
止める方法は知らなくて。
私はお腹に手を当てたまま、
どのくらいの時間泣いていたんだろう。
「…っていう訳だから。皆さん、これからも宜しくね?」
そう新さんが立ち上がって言ったから、
はっとして…
周囲に目を配ると…。
私と同じ位、ボロボロの顔をした…愛里と絵美。
梓さんがその間で、おろおろとしている。
「…ふ、ふふ…」
何で二人まで泣いてるの?
と、その様子が可笑しくて笑いは漏れるのに。
未だ涙は止まらない。
「…っく。新が、奈央…泣かした~…!」
「意味分かんない事言って…泣かしたぁ…ぁ…」
そう「しゃっくり」まであげながら、二人は新さんの両腕をバシバシと叩いていた。
多分…
私が普段は強がって、
二人の前ですら泣かないから…
過剰に反応させちゃった?
「…バカぁ!奈央が…泣くって、無いんだよ!?」
「…っく。新、嫌い!」
そんな罵声をあびて、
「…えぇ~?」とおどけて見せる新さんも、やっぱり少し困っていて。
私に「助けて」と視線を送るのだけど、意地悪な私は…
やっぱり、放っておいたの。