記憶 ―惑星の黙示録―
相反しての、
ウチの困った子は…
「…ちょーちょ!」
そう嬉しそうに私に言った。
「…蝶々、が居たの?」
「うん、いたのッ!それでねッ、おっかけてたらハルカが『まいご』なんだよ!?」
迷子はお前だよ…
落ち着きが無いのよね。
…新にそっくり。
蝶々が居て追い掛けてたら、遥ちゃんとはぐれて迷子になっちゃった…と。
「で、蝶々はどこかへ行っちゃった?」
「うん、おそら!とんでったのッ!で、オレひとりに…なったのぉ…」
蝶々が居なくなっちゃって一人で帰り道分からなくて不安になっちゃった…と。
ふふふ…と、そう笑みを溢して空を見上げれば、夜空には白い月。
「ちょーちょ、『おつきさま』にとんでいったんだよ?」
「…ぇ?」
思いがけない言葉が、私の遠い記憶を呼び起こす。
月に…?
いやいや、
この子に分かるはずないし。
そう微笑みながら「帰ろ」と小さな手を引いた。
「…だっこ。」
「…えぇ~?甘えん坊さんは、遥ちゃんに笑われちゃうわよ~?」
私は目を細めて、ニヤニヤと意地悪を言う。
この子の反応が楽しみで、ついつい苛めたくなる。