記憶 ―惑星の黙示録―
リュウは私の横で、
「ほら、奈央。近付けばプエル鉱山なんて小さなものだろっ?」
とまた笑った。
私たちは今、プエル鉱山の真上を飛んでいる。
小さいと言えど、山は山。
だけど鉱山だからなのか山肌に緑はなく、焦げ茶とも灰色とも言えない地味な色合い。
ゴツゴツとした冷たい印象を受ける。
「あっ!昼が家に帰り始めた。じきに夜が駆けつけてやって来るよ~?」
空を見回しながらリュウが言った言葉の意味を、
この世界に慣れ始めた私は、
『日が暮れ始めたから、もうすぐ暗くなるって意味だろうな』
と考えていた。
「奈央、夜がやって来たら鉱山の麓に街が現れるから見ていてご覧よ。」
「街…?」
「そう、俺が住んでいる街だよ。そこで人とおちあうことになっているんだ。可愛い女の子なんだよ?」
――シュンッ…
と何かが目の前を通っていったと思ったら、
急に薄いオレンジ色だった空が、パッと真っ暗な闇に包まれた。
「えっ!?」
まるで、部屋で電気をカチッと消した時の様だ。
暗すぎて、横にいるリュウの顔も微かにしか見えない。
目が慣れていないせいもあるだろう。