記憶 ―惑星の黙示録―
……あれ?
私はいくら待っても変化のない現状に痺れを切らし、ゆっくりと瞳を開けた。
恐る恐る…開いた瞳に映っていた物は、
目の前に…
逆さまの、女の子の顔。
いや、正確には…
逆さまなのは、私の目の方なのだけれど。
「…もぅ!危ないなぁ!急に空から降ってくるなんて。」
女の子はそう言った。
ベッドじゃない…
未だ『夢の続き』なんだ。
じゃあ、
…助かったの…?
そんな私の疑問に、
私の横で同じ状況にいるリュウが答える。
「そうだね、おめでとう!」
…はぁ…。
どうも、有り難う…
「…ぁ、あたしの名前は、ハルカ。よろしくね?ナオちゃんでしょう?」
女の子は、私の目の前でそう笑った。
「…そう。…?…宜しく…」
私の名前を、
…知ってる…?
リュウが先程言っていた女の子が、この子の事なのかもしれない。
そう思って笑顔を向けようにも、今の私には困難だった。
私たち2人の体は、
ハルカと名乗る女の子の目線ぎりぎりの所で…、
ピタリと止まっていた。
体が、動かない。
まるで…
接着剤で固められた気分だ。