記憶 ―惑星の黙示録―
体は、ハルカちゃんの手の動きに従ってゆっくりと半回転してゆく。
途中ハラハラしながらも、
私の足は無事に地面へと辿り着いた。
これが、魔法…
久しぶりに地面を踏みしめる。
地面からどの位の時間離れていたんだろう。
未だ浮いているような、そんな感覚が残ってしまっていた。
石畳の街の地面は、
相変わらず様々な色に点滅を繰り返し、その何色もの明かりが私の足元を照らす度に不思議な気持ちになる。
湿った空気…。
匂いがあるとしたら、
これは「水」の匂い。
「…ふぅ…」
ほっとして、そんな声をあげたのも束の間。
――…ワンッ!
そう吠える黒い影が、
私を待っていた。
「――…!?」
黒い尻尾をブンブンと振って、
「それ」は、
ハルカちゃんの足元に居た…。
今まで視界が下までは届かなかったんだ。
…ゥワンッ!
「――…ぃ…犬ッ!!」
私は、よろけながら数歩退いて「それ」から距離を取った。
自然と背中が丸まる。