記憶 ―惑星の黙示録―
街の酒場では、
魔法を珍しがる私に、住民たちは様々な魔法を披露してくれた。
住民の一人が、ほら…と、
いとも簡単に、紙屑を星形の砂糖菓子に変えた。
もう一人が、
その沢山の砂糖菓子を、
本物の星に変えてみせた。
焦げ茶色の木のテーブルの上に、光輝く星の粒たち。
最後に…、
アランがその星たちを手の平ですくい上げ、酒場の天井近くまで星たちを浮上させると、店の照明をおとした。
しばらくの間、
酒場の天井では、何色もの光輝く星たちが、キラキラと私たちを照らしていた。
そこにいる誰もがその光景に目を奪われ、飲み物を片手に天井を仰いでいた。
「…はぁ……」
アランは軽い性格に似合わず、なんてロマンチックな事をするのだろう、と私は少しだけ感心していた。
そんな私に気付いたのか、
アランが私の隣で、
ふふん…
と満足そうに鼻で笑う。
得意気に。
その様子には、
ムカッ…と腹が立った。