記憶 ―惑星の黙示録―
今思えば、ヒドイ奴。
「良い彼氏」でも、
「良い人間」でもないかもしれない。
だけど、その時は大事な人だったんだよ。
「涙」を我慢するのに、
…疲れていた。
何度となく繰り返される、
あの状況。
…あの会話。
曖昧な、
崩れ落ちそうな関係。
やはり彼は、
『別れよう』とは言わなかった。
言えばいい、
その方が私は楽なのに…。
『私は大丈夫だから、あの女の所へ行っていいよ…』
結局…
「別れ」を切り出したのは私。
どうして、
こんな事を私に言わせるんだろう。
きっと、
引き止めても…
結果は同じだったんだと思う。
彼は、行ってしまった。
別の…
彼いわく弱い弱い、
彼がいないと死んでしまうと言う女の子の元へ。
何が強くて、
…何が弱いの…?
私は「大丈夫」なわけじゃない。
でも彼がいなくても、
「死のう」とは思わない。
それが、
「強い」って事なの…?
違うよ…
強いわけじゃない。
「大丈夫」なわけじゃない。
分かってくれない彼は、
嫌い。
「弱さ」を武器に、
彼にすがるあの女も、
…嫌い。