記憶 ―惑星の黙示録―
私は、強くなった。
一人でも生きていける事が分かったし、誰かを頼らなくても自分の力でそれなりには出来た。
性格もキツくなった。
本心はあまり明かさなくなったし、表面上だけで接していた。
会社の為に。
皆が仕事しやすい環境に…
そう自分に言い聞かせた。
でも、
頑張れば頑張る程、
バカを見る事の方が多かった。
『この資料、今日までだって。あたし残業ムリ!』
『主任に言えば何とかしてくれるんじゃない?絶対代わりにやってくれるってー』
年齢?…関係ない。
私の指示が出るまで何も動こうとしない人任せな年上たち。
自分が楽をしたいだけのズル賢い大人たち。
やる気がねぇなら辞めちまえ。
そうも言えない人材不足。
…違った。
無駄に頭数は居るけれど、
「能力」不足。
その穴を埋めるのは、私。
『いつもテキパキすごいですよねー』
誰もやらないから、
自分でやっているだけ。
――…少しはやってみたら?
その言葉を飲み込んで、そう?と余裕の笑顔を作る。
『主任みたいに仕事出来る人は良いですけど、私には無理ですよー』
『私、主任みたいに強くないですからー』
疲れた。