記憶 ―惑星の黙示録―


私は、強くなった。


一人でも生きていける事が分かったし、誰かを頼らなくても自分の力でそれなりには出来た。

性格もキツくなった。
本心はあまり明かさなくなったし、表面上だけで接していた。


会社の為に。
皆が仕事しやすい環境に…

そう自分に言い聞かせた。


でも、
頑張れば頑張る程、
バカを見る事の方が多かった。


『この資料、今日までだって。あたし残業ムリ!』

『主任に言えば何とかしてくれるんじゃない?絶対代わりにやってくれるってー』


年齢?…関係ない。
私の指示が出るまで何も動こうとしない人任せな年上たち。
自分が楽をしたいだけのズル賢い大人たち。


やる気がねぇなら辞めちまえ。

そうも言えない人材不足。
…違った。
無駄に頭数は居るけれど、
「能力」不足。

その穴を埋めるのは、私。


『いつもテキパキすごいですよねー』

誰もやらないから、
自分でやっているだけ。

――…少しはやってみたら?

その言葉を飲み込んで、そう?と余裕の笑顔を作る。


『主任みたいに仕事出来る人は良いですけど、私には無理ですよー』

『私、主任みたいに強くないですからー』


疲れた。


< 57 / 262 >

この作品をシェア

pagetop