記憶 ―惑星の黙示録―
「…奈央!?」
「――…!?」
聞き慣れない声の主に呼ばれて、目が覚めた。
ぱちっと目を開けると、
目の前に男性の顔。
「――…?」
顔にかかる黒い髪。
心配そうな甘いマスク。
ちらりと見え隠れする額には、
何だろう…。
小さな小さな…『3つの点』。
これは、アザ…?
「………」
この顔、知ってる…
誰だっけ?
確か…愛里と会ったのは、仕事を終えた金曜の夜。
今日は休みなのに。
もっとダラダラと寝ていたかったのに…
ボーっとまとまらない頭でそんな事を考えていたら、目の前の顔がふふっと笑った。
「…奈央、大分うなされてたよ?大丈夫~?」
――…!?
思考が繋がる。
自分の周囲に目を配ると、そこには見慣れぬ天井。
私が身を起こそうと動くと、体に掛けられた羽毛布団の様な布が軽い音を発てた。
ここは、どこ…?
「…アラン!?何してるの!?」
仮にも、乙女の寝起き。
目が覚めたら…、
視界いっぱいの彼の顔。
現状が把握しきれず、私は慌てふためいた。
「…む。何もしてません~!昨日の晩、奈央が飲みすぎて勝手に倒れたんだよ?失礼ねー?」