記憶 ―惑星の黙示録―
「…ちょっ…!何!?何が動いてるの!?」
必死にアランとハルカちゃんに問いながら、私は布団から出ようともがいた。
二人は何も言わずに、
布団の中から私に近付く「それ」の登場を待っているようだった。
焦っているのは私だけ。
ぴょこ…っと、
布団から顔を出したのは、
…ゥワンッ!
『…じゃぁーん!俺ーッ!俺、馬鹿アランからナオを守ったんだ!エライかぁ?』
昨日の…
黒い謎の生物!?
「…――…!!?」
人間、本当に驚いた時は声も出せないもので…。
顔面蒼白とは、まさにこの事。
小さな牙を見せて目の前でハッハッと息を吐く生物に、私の視線は釘付けだった。
犬竜はすっかり布団から出ると、その上でフルフルと体と毛を震わせる。
身支度をし終えると、その場に座って私を見て首を傾げていた。
ワン…
『…無反応が一番困るんだけど、俺…。何か言えよ…、おぃ。』
だって、
…だって、だって!
「…しゃ…しゃべ…!?」
私はパクパクと言葉を詰まらせ、犬竜を指差しながら、他の二人を見た。
苦手な動物が目の前にいて、
尚且つ!
―…喋ってるんだもん。