記憶 ―惑星の黙示録―
絶対、高いって。
雲海って…
テレビの画面でしか見た事ないし…!
どこなのよ、ここ!
これ、
……現実…?
ちょっと待って…。
状況を確認しよう。
思い出せ、思い出せ…。
私は、奈央。
まずいつも通り仕事を終えて、
金曜の夜は残業はなし。
その後は…、
そう、そう…
久々に高校時代からの友人に会って、一緒に食事。
彼女が小さな猫を連れていたから、テラスのイタリアン。
季節は夏。
まだ陽は長く明るい。
少し涼しくなった位で、クーラーで寒い店内と比べればテラスの方が快適だった。
そこで、
彼女の結婚の報告を受けた。
彼女、愛里はお酒が強くないから、彼女に合わせて私もお酒は飲んでいない。
そりゃあ…
この年で結婚!?
マジで?
奥手の愛里に先を越された…
…と、やけ酒したい気分ではあったけれど。
さらに…
お相手は、学生時代に少しだけ私が憧れていた男性。
少しだけ、ね…。
それから、
来週の休日に、ウエディングドレスを選ぶのに付き合う約束して、別れた…はず。
神に誓って、
飲んでないわね。
なのに…、
どうして記憶がないのよ?
なんで、
こんな所にいるの!?