記憶 ―惑星の黙示録―
「行こう?ナオちゃん!お兄ちゃん見失っちゃう!」
ハルカちゃんは私の手を興奮気味に取ると、私の体ごと駆け出した。
「…ちょっ…、ねぇ…」
そんな走らなくても…
『…わはは~ッ!待ってろよ、キースぅ!俺、会ったらケリ入れてやろーッと!』
二人のはしゃぎ様はそれは大変なもので…、
それだけ、その人が『大切な人』なんだという事が分かった。
…羨ましかった。
例え、
今は会えなくても…
少し寂しくても、
辛くても…。
その人を探して、
その人を、求めて…
希望のある旅。
明るい未来が待つ旅は、
きっと楽しいんだろうな…。
私自身には、
そんな希望が存在しないから…
悲しくなった。
重ね着し過ぎて…、
痛みに鈍くなってしまった心を持って、
道の途中、
その心は結構重たくて…
行き先を、見失った。
目的さえも見つけられずに、
それでも前に進む。
いつも無理矢理に…
それは悲しい事に、
『現実』だけの話じゃなくて、
この『夢』の中でも同じ事なんだ…。
私は…
どこへ行くんだろう…
ここは、
……どこ…?