記憶 ―惑星の黙示録―


アランは舟へと乗り込みながら、私を導くように手を取った。

この河を…、
この頼りない舟で越えるのね…


「大丈夫だよ、奈央。今度は正規の交通手段だし?」

アランはそう笑ったけれど、
私が一歩足を踏み入れると、舟はギシッと不安な音をたてて今にも沈みそうに揺れる。

あぁ…不安。


「…はぁい、ハルカとコンはここまでね~。ご苦労様~!」

そんな投げやりのアランの言葉に、勿論の事ハルカちゃん達は不満を口にした。


「『えぇ~!?」』

「…あのねぇ。リュウに言われてるでしょ!?洗礼を受けていない者はこの先へは進めないの!」

「聞いてたけど~…」


「この河の向こうへ行って良いのは、洗礼を受けている者と、洗礼をこれから受けに行く人!つまり、俺と奈央!お分かり?」

アランは舟の上で偉そうに首を傾げ、岸辺に残る二人に手を振った。


『むぅ!イ~ヤ~ダ~ッ、連れてけよぉ!』

コンちゃんは首と体を捻って駄々をこねていて、その様子が可愛らしくて可愛らしくて…
私は胸がきゅんとなる。
もう、虜。


「…連れていってあげたら?」

私のそんな問いかけに、ハルカちゃんも顔を輝かせた。


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