記憶 ―惑星の黙示録―


ゆったりと流れる河は、
青空の光を反射してキラキラと輝く。

音もなく進む舟の上で、それをボーッと眺めながら、私は少し考え込んでいた。


仮に、
仮によ…?

ここが私の夢の中じゃないんだとして…、この変てこな世界に私が迷い込んでいたとして、

…洗礼ってさ、

私は、
受けちゃマズイんじゃない?

元の世界に戻れなくなっちゃったり、…しない?

戻れなくても、
良いっちゃ良いけど。
良くもないでしょ。


仕事もあるし。
あの職場、私が居なくて大丈夫かしら?
月曜には朝イチで会議も入ってるし…

愛里のドレス選ぶ約束だってしたし、式だって…楽しみだし…



「…アラン、洗礼ってさ…。」

私がぽつりと話し出すと、アランはすでに私を見ていた。

多分、私が聞きたい事も言葉に出すより正確に分かっていたんだと思う。
真剣な顔をしていたから。


「…それは、俺も分からない。俺はただの『案内役』だからさ…。洗礼を受ける前に、リュウに聞いたらいいよ。」

「…そう。」

やっぱり納得のいく答えではなくて、私は首を傾げながら曇った顔。


『なぁなぁ!センレイって、何をするんだッ!?』


< 91 / 262 >

この作品をシェア

pagetop