記憶 ―惑星の黙示録―


「あ、あたしもそれ知りた~い。何をするの?儀式?」

『なんか良い物、もらえるのかッ!?』

無邪気な二人は明るくそう聞いたけれど、私は真剣にアランを見ていた。

だって、他人事じゃない。
私がそうなるかもしれないわけだから。


「…貰える物?」

ははっとアランは笑って、ん~…と明るく楽しそうに考え込んだ。

洗礼は、ようこそって儀式で。
洗礼を受けた者は、
周囲の人の心が読めてしまう。

私が理解しているのは、アランが言っていたそれ位だ。


「…ん~貰える物、…あっ!『印』を貰えるね~?」

アランは考え込んでいた顔をパッと上げると、人差し指を立てて私たちにそう言った。


「「――…印!?」」

ハルカちゃんと私の声が揃ってアランに聞き返す。


『…シルシ、って何だ!?ウマイか?ハルカ。』

コンちゃんは食べ物だと思ったらしく、嬉しそうに黒い尻尾を振っていた。


「…もぉ、コン…」

「あはは…。食べ物じゃないよ、コンちゃん…」

『…違うの!?なんだよ、期待させんなよッ!超ガッカリ!』

私の言葉に尻尾もパタリと力を無くし、プイっとそっぽを向く。


< 92 / 262 >

この作品をシェア

pagetop