記憶 ―惑星の黙示録―
「ははっ、これが『印』なんだよ~。」
アランはそう言いながら自分の前髪を片手でかきあげて、おでこを指差した。
あ…
さっき、目が覚めた時に私の目に入った、
それは、
小さな『3つのアザ』…
「これが洗礼の印。」
おでこの中心。
小さい小さい紫色の3つの点。
注意して見ない限り、見落としてしまう様な…
それは目立たない物。
「…へぇ~、初めて見たかも。あんまりお兄ちゃんの顔をまじまじと見た事なかったし…」
「ふふん、男前だろ?」
「『……はっ?」』
「……はっ?」
勿論の事、
少し遅れて私もそう返した。
「もぉ~、照れ屋さんばっかり3人揃っちゃって~。」
アランは私たちの白い目に負けじとフゥ~と溜め息をつく。
心が読めるわけだから、私たちが照れてる訳ではない事を分かっているはずなのに…
都合の悪い事は、
知らない振りをする訳ね…?
「……ぅ…」
今の今までヘラヘラと笑っていたアランが、そう小さな声をあげた。
「……?」
アランは片手を頭に当て、苦しそうに眉間にシワを寄せている。
「…どうしたの?お兄ちゃん?」
『ぅおぃ…?』