記憶 ―惑星の黙示録―
――ガクンッ。
アランの力で進んでいたと思われる舟も、急に変な揺れ方をして…、止まった。
「――何ッ!?」
アランは、今までに見た事のない苦痛の表情で切れ切れに息を吐いていた。
……ちょっ、アラン!?
何?大丈夫!?
舟は完全に力を無くし、
私たちの重さで沈みかけている様だ。
舟を纏っていた紫色の光も、どんどんと薄れていく。
「…お兄ちゃん!?」
ハルカちゃんはそう焦りながら、アランの体に触れようと手を近付ける。
「……さ、触るな…。平…気だから…。ちょっと…待って…」
アランはビクッと、ハルカちゃんの手から逃げるように身を引いた。
平気そうには…
全然、見えないんだけど!
私はきょろきょろと辺りに目をやった。
舟は、沈みかけ。
助けを求めようにも、
上には青い空。
ここは広い河の中心。
私たち以外、
誰もいないのが現状だ。
『…だ、だだ、大丈夫かよッ、おぃ~ッ!?』
「…ちょっと、アラン…!」
あまりにも苦しそうで…、
逃げようと身を引くアランにはお構い無しに私の手が、肩に触れた。
触れた、
……はずだった。