記憶 ―惑星の黙示録―


――ガクンッ。

アランの力で進んでいたと思われる舟も、急に変な揺れ方をして…、止まった。


「――何ッ!?」

アランは、今までに見た事のない苦痛の表情で切れ切れに息を吐いていた。


……ちょっ、アラン!?
何?大丈夫!?


舟は完全に力を無くし、
私たちの重さで沈みかけている様だ。
舟を纏っていた紫色の光も、どんどんと薄れていく。


「…お兄ちゃん!?」

ハルカちゃんはそう焦りながら、アランの体に触れようと手を近付ける。


「……さ、触るな…。平…気だから…。ちょっと…待って…」

アランはビクッと、ハルカちゃんの手から逃げるように身を引いた。

平気そうには…
全然、見えないんだけど!


私はきょろきょろと辺りに目をやった。
舟は、沈みかけ。

助けを求めようにも、
上には青い空。
ここは広い河の中心。

私たち以外、
誰もいないのが現状だ。


『…だ、だだ、大丈夫かよッ、おぃ~ッ!?』

「…ちょっと、アラン…!」

あまりにも苦しそうで…、
逃げようと身を引くアランにはお構い無しに私の手が、肩に触れた。

触れた、
……はずだった。


< 94 / 262 >

この作品をシェア

pagetop