記憶 ―惑星の黙示録―


「……ぇ!?」


私の手は、
アランの肩を通り越していた。

掴めない。
触れられない。


「…え、お兄…ちゃん…?」

驚いているのは、
私だけではなかった。

アランの体は、
目の前にあるのに。

透けていた。


『…んきゃあぁぁぁ!!オバケ!?オバケ!?』

「…ちょっと、コンは黙ってて!お兄ちゃん!」

『…はわわわゎ。あぃ…。』

昨日まで、
いや、さっきまでは普通に触れられていた人が…

目の前で、
苦しみながら消えていく。


「…ア、アランッ!?ハルカちゃん、これはどうゆう事!?」

私は焦って焦って…
でも、
どうする事も出来なくて。


「わ、分かんないよぉ。こんな事、今まで無かったよ!?」

『…きゃぁぁあぁ!アランーッ!馬鹿でもいいから消えないでぇぇ!』


嫌だ、
…どうしたらいいの?

私には、
何も出来ない。

そう自分の無力さを知った。
どうにか出来るとしたら…


「…ハルカちゃん!ハルカちゃんの魔法で舟を進められない!?向こう岸に着けば、リュウって人が居るんでしょ!?」

ただ、ここで舟が沈んでしまうのを待つ訳にはいかない。


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