記憶 ―惑星の黙示録―
水平線しか見えない広い河。
向こう岸なんて見えやしない。
でもアランはこう言っていた。
『この世界では、近付かなきゃ本当の大きさは知れない』
近い、可能性はある。
アランは今にも消えてしまいそうで、早く向こう岸に着かなければ、アランを助けられる人を見つけなきゃ…
「…やってみる!」
ハルカちゃんはそう目を閉じた。
『ナ、ナオ。俺はッ!俺は何するッ!?何しとく!?』
コンちゃんは瞳を潤ませながら、あわあわと私の周りを飛び回っていた。
「私たちは…神様に祈る位しか、出来ないよ。」
本当に、
それしか…
私は苦しむアランを見つめながら、自分の拳を握った。
『…ユピテルーッ、助けろーッ!?』
「…誰それ。キリストでしょ!?それかマリア様?」
『は!?ユピテルか、エウロパでしょッ!?』
あぁ、世界が違うんだった。
もう正直、誰でもいいのよ。
『神に誓って』とか、
『神様、助けて』とか…
私は、よく口にする。
けれど、
別に崇拝しているわけでもなければ、信仰しているわけでもない。
ただの、口から出た言葉。
強がりながらも、
神様になら『助けて』と、簡単に言えるんだ。