記憶 ―惑星の黙示録―


「ねぇ!大丈夫!?何かして欲しい事ない!?どうしたら治るの、この体!」

アランが苦手だとか軽い性格が嫌だとか、心を読まれてしまうから隠さなきゃ、とか…
そんな事は、もう頭の隅にもなくなっていて。

必死になって、
そうアランに聞いていた。


アランは苦しみながらも、
ふふふっと顔を歪めて少し笑った。


「…やっ…さしぃ~、奈央。はぁ…。俺の事、本当は超…心配なんだ~…」

「――冗談言ってる場合!?」


「…はは。ごめん…、ちょっと待って…。はぁ…、治まってきたから…」

アランはそう言いながら、
自分の手を紫色に光らせると、そっと舟に触れた。

浮力を失いかけていた舟が、
グッと水面を上がっていく。


「……触った…?」

「うん。大丈夫…。もう…落ち着いてきたから。」

透けて水面の青を通していたアランの体からは、透明感が徐々に消えていく。


「…はぁ。はぁ…もう平気。ごめん、でも…ちょっと休憩…」


パタリと座っていた体を横に傾け、アランは倒れ込んだ。

倒れ込んだ先は、

私の膝の上。


「…うふふー、膝枕~…」

アランは切れ切れになりながらも、おどけて見せていた。


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