私と彼の関係〜本気の浮気〜
軽く手を振り返し、彼らの元へ小走りで近付いた。
「一緒に移動しまひょ」
伊藤君は近くまで来た私に呂律の回らない口調で言うと、上原部長にペシッと頭を叩かれている。
そんなやりとりを見ながらゾロゾロと全員でカラオケ店へと足を向ける。
「そういえばぁ〜俺ぇ〜片瀬さんの携帯知らないですぅ」
叩かれて少し酔いがさめたのか、単語ははっきりしたものの語尾の延びた口調で言われた。
携帯を教えると、就業時間以外でも時々かかってくると言っていた先輩の言葉を忠実に守りあまり番号交換をしていない。
「私の番号って高いよ?」