私と彼の関係〜本気の浮気〜
「それって」
思わず呟くと、今度は佐々木さんが耳に手を当ててえ?っという口の形をしている。
どうやら伊藤君の選んだ曲はそのまま最後まで大音量らしく、隣同士の会話がままならない。
歌に没頭している伊藤君をチラッと見てから佐々木さんを手招きして、さっきのように少し顔を近づけてもらう。
佐々木さんの形のいい耳が目の前に来たところで彼にだけ聞こえるように囁いてみた。
「何か口説かれてるように聞こえます」
彼は一瞬驚いた目をしたあと、また私の耳元に顔を寄せて
「口説いてるんですって。ってかホントにいい?」