私と彼の関係〜本気の浮気〜



『ふ〜』



溜め息の声が聞こえた後、クスクスと笑う声が伝わってきた。



『すいません。伊藤が隣にいたんで移動しました』



少し含みを持たせて言う佐々木さんの言葉に思わず顔が赤くなる。



「ごめんなさい。ホント何でもないんです。お疲れ・・・」



電話を切ろうと早口で言う私に



『もう少し話したら迷惑ですか?』



佐々木さんの声に私のセリフは途中で止まった。



「あの・・・」


『あはは。すいません。5分だけ俺に時間をくれませんか?』


「5・・・分?」


『5分だけ俺の我儘を聞いてください。給料から天引きしてもらってもいいんで』



冗談を織り交ぜた佐々木さんの言葉に少し笑えた。






< 140 / 297 >

この作品をシェア

pagetop