私と彼の関係〜本気の浮気〜



「人の気持ちって難しいよね」



奈央はフ〜ッと煙を吐き出しながら呟いた。



「若いころは気持ちだけで突っ走れた。好きっていう気持ちだけでどこまでも進めて。

でも年を重ねると、自分の立場や環境や周りに縛られて気が付くと臆病になる」



年は取りたくないねと笑う奈央に私は笑って頷くしかなかった。



「一緒にいることも愛。相手の幸せを思うことも愛。気持ちを隠すことも愛。

大人になると愛にもいろんな形があると思えるようになったんだ」



煙草を灰皿に押しつけ、最後のアルコールを口に含む奈央に



「そうだね。守ることも・・・愛なんだよね」



彼の傍にいて一緒に笑いあえなくても、体を重ねることができなくても、キスをすることができなくても。






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