私と彼の関係〜本気の浮気〜
母が食器を洗っている横で、余った料理をラップしてから冷蔵庫へと入れる。
「お父さん、ビールのお代りいる?」
先に片付け終わったので冷蔵庫から取り出した新しい缶ビールを持って
リビングでTVの上を眺めている父の前のソファーへと移動した。
「あぁ。なぁ真央、あの写真の時っていくつだった?」
「二十歳だよ、短大の卒業式の時だから。そういえば今と同じ時期だね」
写真には卒業証書を持った袴姿の私が、まだ咲いていない桜の木の下で笑っていた。
「父さんは二十歳の時に母さんと出会ったんだ」
缶ビールを持ち遠い眼をしながら父はポツリと呟いた。