サナギとセカイ
「ちゅーか凪さん、いつまで続けるンすかー?」
「ンの事だよ」
「バイトのコトっすよ」
こいつの言うバイトというのは、ミセス・ドーナッツの事だ。
通称、ミセド。
代金分の甘ったるいドーナツとバイト代分の笑顔を売る、それはもう夢の溢れるアルバイトだ。
「…ンなこた、おめーにゃカンケーねぇ」
フィルターだけになった煙草を灰皿で押し潰し、私はソファーの背に腕を広げて、深く身を静めた。
「ま、無いっちゃ無いンすけど…」
タカナシは、歯切れ悪く言葉を切った。
店内に流れる流行りのクリスマスソングが、微妙な沈黙をフォローしていた。
私は知らず知らずその歌を口ずさみ、次の煙草に火を付ける。
「俺三年なんで、そろそろ就活なンすわ」
「へー、お前三年だったんだ」
「けど、夢っちゅーか希望みてェなモンとか全然なくて、就活どーすっかなーみてーな感じなンすよ」
「ふーん、んなカンジなんだ」
煙草をくわえたままソファーの背もたれに頭を預ける形で天井を見上げる私は、適当に相槌を打っていた。
打ちながら、なるほどと思ったりしてた。
久しぶりに私ンとこ来たのは、人生相談が目的だったらしい。
アホだ。
もっと他の奴頼れよ。
「ンでー凪さん、まー言ってみりゃフリーターじゃねーっすかー」
「あー…ま、無職だわな……あ?てめ、ざけんなハゲ。誰が、無職だコラ。私は絶賛ドーナツ職人だっつの。ドーナツっていうメルヘン売ってんだよ。お客様にひとときの夢を売ってんだっつーの。お分かり、チンピラ?」
「でもバイトじゃねーっすか」
「……ぐ」
こいつ、人の痛い所を。
「ンの事だよ」
「バイトのコトっすよ」
こいつの言うバイトというのは、ミセス・ドーナッツの事だ。
通称、ミセド。
代金分の甘ったるいドーナツとバイト代分の笑顔を売る、それはもう夢の溢れるアルバイトだ。
「…ンなこた、おめーにゃカンケーねぇ」
フィルターだけになった煙草を灰皿で押し潰し、私はソファーの背に腕を広げて、深く身を静めた。
「ま、無いっちゃ無いンすけど…」
タカナシは、歯切れ悪く言葉を切った。
店内に流れる流行りのクリスマスソングが、微妙な沈黙をフォローしていた。
私は知らず知らずその歌を口ずさみ、次の煙草に火を付ける。
「俺三年なんで、そろそろ就活なンすわ」
「へー、お前三年だったんだ」
「けど、夢っちゅーか希望みてェなモンとか全然なくて、就活どーすっかなーみてーな感じなンすよ」
「ふーん、んなカンジなんだ」
煙草をくわえたままソファーの背もたれに頭を預ける形で天井を見上げる私は、適当に相槌を打っていた。
打ちながら、なるほどと思ったりしてた。
久しぶりに私ンとこ来たのは、人生相談が目的だったらしい。
アホだ。
もっと他の奴頼れよ。
「ンでー凪さん、まー言ってみりゃフリーターじゃねーっすかー」
「あー…ま、無職だわな……あ?てめ、ざけんなハゲ。誰が、無職だコラ。私は絶賛ドーナツ職人だっつの。ドーナツっていうメルヘン売ってんだよ。お客様にひとときの夢を売ってんだっつーの。お分かり、チンピラ?」
「でもバイトじゃねーっすか」
「……ぐ」
こいつ、人の痛い所を。