勇者ゲーム
あたし達は今、水泳部の部室にいる。
「部屋って、ここで平気なの?」
美緒が紙に勇者と書きながら愛花に聞く。
「うん。
密室なら、どこでも平気みたいよ。」
愛花があらかじめ用意していた食塩を取り出しながら言う。
ってか、食塩用意してる時点で、やる気満々だよね、愛花……。
段々恐くなってきて、表情が堅くなるあたしに、
「やっぱ、美羽も苦手なんだな。」
ボソッとそう言ったのは孝大だった。
「孝大も、苦手でしょ?」
「うーん…まぁ。」
そう言って困ったように笑う孝大。
孝大って、やっぱりよくわかんないなぁ…。
「美羽、孝大、なにしてんの?
準備出来たよ。」
そう言って美緒があたし達に手招きした。
あたしは孝大と目を合わせ、軽く笑った。
「無事だといいな、俺ら。」
「…だね。」
そう言って、既に円を組む3人の輪に混じる。
座った目の前に、食塩水が置いてあった。
「じゃあ、始めるよ。
せーので目、閉じてね。
……………せーの!!」
あたしは愛花の合図で素早く目を閉じた。