勇者ゲーム
「…今日も家。
このままじゃいけないのはわかってるよ。
でも、やっぱりあたしには、無理なんだ……。」
そう打って携帯を閉じて、ベットに放り投げる。
そしてあたしも、ベットに身を投げる。
目を閉じて、強く自分の殻に閉じこもろうとする。
しかし、
メールした直後にも関わらず、携帯がブルブルと振動したため、現実に引き戻される。
「早っ……。」
半分呆れて、半分笑って、あたしは携帯を見る。
“新着メール 1件”
誰からかなんて、見なくても分かる。
あたしとメールするのなんて、
山城 大輝(ヤマシロ ダイキ)
だけ。
「好きだな
まぁ俺も好きだけど
早く帰りて~
まじ面倒
でもノートはとってる」
あたしは思わず笑ってしまった。
相変わらず主語のない、素っ気無いメール。
多分、これが精一杯なんだろうな、山城には。
そんなことを思いながら返事をする。
「そか。早く帰れるといいね。
ノート、あたしのためにありがとう。
ちなみになんの教科?」
彼の真似をして(でも主語はちゃんと入れて)素っ気無いメールを送る。
また、返事は早かった。
「生物。
終わったらすぐ行く。」
また、主語ないし。
でもこの山城から送られてくるメールには、何故かいつもホッとする。
メールも普段も全く変わらない、ありのままの姿を見せてくれるからなのだろうか。