勇者ゲーム


「国咲~」


インターホンから気の抜けた声が聞こえてきた。


「はいは~い」


あたしが玄関を開けると、いつも通り無気力な山城大輝が立っていた。


「よ。」


片手をあげてそう言って、ふらふらっとあたしの家に入る。

山城は授業のノートを届けにあたしの家に来るのが日課になってきている。


「あ~
疲れた。

国咲~
なんか飲み物くれ。」


「はいはい。」


あたしは冷蔵庫から麦茶を取り出し、勝手に山城大輝が座っている椅子の前の机に置いた。


「さんきゅ。」


そう言ってガブガブ麦茶を飲む山城。


タレ目がちな目。
高い鼻。
薄い唇。
飲むたびに動くキレイな喉ぼとけ……。

相変わらず、整った顔。


「あ、そうだ。
生物。」


麦茶を置いて、自分の鞄から一冊のノートを取り出す。


「ありがと…。」


受け取ったノートをパラパラ開くと、相変わらずキレイな字が並んでいた。


「写すの面倒だった
でもまぁ~頑張ったわけよ。俺。」


そう言って大あくびする山城。


「眠そうだね。」


「うーん…。」


首をこっくりさせながら山城は首を横に振った。


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