勇者ゲーム

…………

…………あぁ、そうか。

……きっと、彼は、この一言で沢山のことをあたしに詫びた。


話せない、ごめん。

抱き付いて、ごめん。

期待させて、ごめん。

…………好きじゃなくて、ごめん?



「…あたしが、嫌い?」


「……違う。」


「あたしと、付き合う?」


「…………ごめん。」


……どうして、謝るの?


あたしは思い切り山城を突き飛ばした。


「………わかった。
もう、わかった……っ。

もう、来ないで…
帰って…」


山城は文句も言わず、鞄を手に持ち、玄関へ向かう。


「…ノート、ポストに入れるからな。」


……家に来るとは、言わないんだね…。


玄関が閉じる音がしてから、あたしは声をあげて泣いた。


あたしは、唯一の生きる希望を、失った。




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