勇者ゲーム
「………国咲?」
インターホンを押しても一向に出て来ないのに不安を覚えはじめた。
昨日のことは、やはりマズかったんだ。
あいつが精神的に不安定なのは、なんとなく知っていた。
なのに俺は…。
その時、不意に手をかけたドアノブがカチャッとなった。
鍵…開いてる。
俺は慎重に部屋の中に入った。
部屋は、たった一日で随分荒れていた。
部屋の隅に、布団にくるまってこちらを睨む目を見た。
…………国咲洋奈(クニサキ ヒロナ)だ。
「……国咲?」
声を掛けて、近付こうとする。
でも、それを睨み付ける目が許そうとしない。
不意に、国咲が口を緩めた。
「ふっ………
ふふふふ……
あはははははっ!!」
……笑った。
恐ろしく笑った。
……やばい。
「なにしに来たの?
殺されたい?
ふふ……」
国咲はそう言ってぞっとするような笑みを浮かべる。
………このままだと、本当に殺される……。