勇者ゲーム


「………国咲?」


インターホンを押しても一向に出て来ないのに不安を覚えはじめた。


昨日のことは、やはりマズかったんだ。


あいつが精神的に不安定なのは、なんとなく知っていた。


なのに俺は…。


その時、不意に手をかけたドアノブがカチャッとなった。


鍵…開いてる。


俺は慎重に部屋の中に入った。


部屋は、たった一日で随分荒れていた。


部屋の隅に、布団にくるまってこちらを睨む目を見た。


…………国咲洋奈(クニサキ ヒロナ)だ。


「……国咲?」


声を掛けて、近付こうとする。


でも、それを睨み付ける目が許そうとしない。


不意に、国咲が口を緩めた。


「ふっ………
ふふふふ……
あはははははっ!!」


……笑った。
恐ろしく笑った。


……やばい。



「なにしに来たの?
殺されたい?
ふふ……」


国咲はそう言ってぞっとするような笑みを浮かべる。


………このままだと、本当に殺される……。



< 9 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop