あなたとの恋をもう一度
学校で会う前にここで風音と会った記憶がない。

「でももう止める。あいつらしい終わりだよ。約束しても一度も守ってくれたことなかったし」

風音はストラップを手から落とした。

ポトリと地面にぶつかった音だけがした。

「帰るぞ」

村瀬が手を差し出すと、風音はそれに自分の手を乗せて。手を繋いで帰って行った。


オレは風音が落とした物の所へ走った。

そこには青い色のトンボ玉が落ちていた。

拾い上げて見ると、着いている紐に見覚えがあった。

細い革紐。

革のネックレスの紐だ。

どこにでもあるように思えるが、所々、ほつれている所、確かにオレが去年まで使っていたものだ。

風音とオレは会っていた。

証拠はここにある。
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