あなたとの恋をもう一度
小野を止めようとつかみかかろうとしたとき、聞き覚えがある声が止めた。

「雨降って来たぞ。風邪引く前に帰れ」

「村瀬…」

担任の村瀬が傘をさしてオレのすぐ後ろに立っていた。

「先生をつけろ、バカヤロー」

生徒にバカヤローという教師もどうかと思ったが、口にはださなかった。

「先生も祭りにきたんですか?」

「見回りだよ。祭りなんて一人で来てどうすんだよ。オレの仕事が増える前に帰れ」

村瀬が行った後、小野が屋根の下から出た。

「どこに行く気だ?」

「風音さんのとこ。まだこどもと一緒かもしれないし、二人とも風邪引いちまう」

「何でお前が」

「好きだから」

小野が確かにそう言った。
< 7 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop