ヒビのイキガイ
暑い…。
近所に行くだけとは言えど外は暑い。
太陽 マジだな。ガチだな。
たぶん冗談通じないタイプだ。

などと考えている間にスーパーについた。
求人紙は入り口すぐの場所にある。
それを速やかに取らねばならない。
なぜならば、誰かの目に止まり

(あら、この人、求職中?)

と思われたくないからだ。
おれは、クールで居たい。
求職などという泥臭い行為をせずに
スマートにクールにニヒルにシニカルに!

さすが、朝だ。
おばさんが多い。
そのおばさんらの流れを読み
求人紙に近づき
目にも止まらぬ速さで、、、

「日比野くん?」

ハッ…!
だれだ!こんな時に我が名を呼ぶのは!
恐る恐る声がした後ろを振り替える。

前のバイト先にいた女だ。
身長160後半くらい。
それ+ヒールだから目線が同じ高さだ。
ノースリーブにホットパンツという涼しげな格好をしている。
ついつい胸に目が行ってしまうのを我慢し
狼狽を悟られぬようにクールに返事をする。

『や、やぁ、もーにん』

店内の冷房からの風が直撃したかのような背筋の寒さを感じた。
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