ヒビのイキガイ
ゆうだいは夕日の中へと去っていった。

その背中に手を振る さゆ と
心配そうな顔してる ゆり が立っている。

「さゆ…
 テンパりがヒドい」

『そ、そうかなぁ?
 いつもより上手くしゃべれた気がするんだけど…』

「まぁ
 よしとしよう!
 ゆうだいくんは、あまり気にしてなかったみたいだし」

『小さいことにこだわらないこともカッコいいぃ…
 なんてメールしよう
 なんてメールすればいいと思う?』

「普通に部活の話とかすればいいんじゃない?
 大会近いんだろうし」

『それいいね!
 じゃあそう送るよっ

 んと…
 た、い、か、い
 ち、か、いんだっ、てね
 しっ、てるよ。
 と、これでよし。』

「なにそのストーカーみたいな内容
 もっと励ますとかそんなのにしないとっ」

『うー、むずかしい!』

そんなことを言いながら
夕日に背中を照らされながら2人は去っていった。

おれは、

ストーカーに向いてないかも
これを生き甲斐にするのには体力が追い付かない…。

なんてことを考えながらアパートに戻った。
今日の月は、ニヤリと笑ってるような三日月だ。
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