人魚姫



ズキン。胸が痛む。

でも、きっと取り巻きがなんと言おうと和紀なら…。

そんな淡い期待を抱いていた。


―――でも。



「あ〜、はいはい。

そうだね。
人魚姫は海に帰れってことだね」

そう、和紀が言った。



「きにすんなよ。時雨」


那波が前から手を引っ張って、校門を通り過ぎる。



通り過ぎるさいに和紀が私に気がついて、笑って手を振ってきた。

< 21 / 40 >

この作品をシェア

pagetop