最期の記憶【短編】


わからない…
わからないことが悔しい。


「ねぇ…私に…他に友達は?」


「いっぱい…いたよ」


――『いたよ』?なんで…過去形なの?


――不自然

そう感じた。


「成海…なんでそんな悲しそうなの?」


「沙羅早が…いないから」


え?

私はここに…いるよ?


「違う…そういう意味じゃなくて…」


「じゃなくて?」


「俺の知ってる沙羅早が…いない」


成海のしってる私―…

そんなのっ


「わかってるさ!沙羅早自体に自分がいないんだから!!」


「うん……」


「沙羅早…ごめん…怒鳴ったりして」


「大丈夫!気にしないから!!」


「そう…こんな感じ」


こんな、感じ?
私が?


「なぁ、自己紹介してみてよ」



< 4 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop