最期の記憶【短編】


「えっ……」


「なんでもいい」


「岸部 沙羅早…」


『岸部 沙羅早 16サイ!ヘンナナマエノサラヲヨロシクネッ☆』


「さら……変…16…」


「沙羅早!?」


「岸部 沙羅早 16歳…変な名前のさらを…よろしくね…?」


するすると出てきた…いや…さっき頭の中で響いたあの声は…
少し前の…私…。

「私は…自分のことを、『さら』って呼んでたの?」

びっくりしてる成海…
でもそれ以上に私の方がびっくりしてる。
多分…。


「あ、うん」


――さら、私…


「……やっ!」


ぞっとした。一瞬だけ…


思い出したくない、と
頭が…心が…拒絶した。


「沙羅早!?」


「ごめっ成海…もういいや…思い出さなくて」


――思い出してはイケナイ


「はぁ?」


――思い出すな


「いいの…もうっ」


   ―― 後 悔 ス ル ゾ



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