最期の記憶【短編】
「お気楽はどっちよ!!」
「お前だろ!コロッと忘れて俺の目の前に姿見せるし」
「な、何よ!」
反撃できない…
できるほど成海を知らない…。
分からない。
「お前は だよ!!」
え?なんて?
「待って?聞こえない…」
「だからっ…」
成海の目から次々と涙が流れていく。
泣く理由が私にはわからない
――記憶がないから。
「先週… だ……」
私の頭は
都合が良いのか悪いのか…
その単語だけ綺麗に聞こえなくしてくれてる。
知ってはいけない事実なのか
知りたくない事実なのか…
――知ってはいけない…そんな気がした。