最期の記憶【短編】
知ったらもうここにいられない
そう告げる“なにか”
“なにか”は記憶
記憶は“なにか”
歩き出す私たち。
成海に手を引かれながら
知ってる筈の知らない街を歩く。
「沙羅早…君は知らなくちゃいけない」
そう言って見せたのは
道路脇におかれた花束。
「君はね…先週ここで…亡くなった」
亡くなった?
消えたの?
私の存在が?
嘘だぁ…
だってほら…ここにいるし…。
「沙羅早…気づいて?君は幽霊なんだよ」
幽霊?私が?
「あっ……ぅっわっ……!!」
頭にいきなり流れ込んでくる映像たち。
『記憶』